私は中国の淘宝網というショッピングモールに出店して、人民元で得た収入を日本円に換えて、そこからまた仕入れ→販売→発送を経て、また人民元を得てというサイクルで回しています。
私の店舗はそれほどたくさん売れまくっているというわけでもないですが、それでも年間で数千万円相当分のお金を動かしています。
換金する方法は、本当にいろいろありますが、今回は煩わしさが少なめで、合法的にそして手数料少なめの方法を紹介します。
いきなり多額を一気に動かそうと考えないほうがいい
ご存知かと思いますが、昨今中国側の外貨流出阻止の傾向が強くなっています。
例えば、こんな一例。
北京から帰国時に私の給与口座は「資産凍結」された 嫌がらせか、外貨流出阻止か 「改革開放は終わった」
中国の国有銀行である中国銀行を訪れ、日本円で100万円相当の人民元を日本の自分口座宛に送金しようとしたものの、合法に得た収入であるという各種証明を求められたという話しです。
もし、100万円程度のお金であれば、人民元で6万元強です。
事前に予約は必要になりますが、中国の銀行の窓口で申請すれば人民元を現金でくれます。
(ATMで予約なしに引き出せる人民元は1日2万元まで)
その現金を香港へ持ち込んで、九龍・尖沙咀にある重慶大廈(チョンキンマンション)というところへ持ち込めば、人民元→香港ドル、香港ドル→日本円へ両替することができます。
cf: 香港ドルへの両替は重慶大厦(チョンキンマンション)がお得!
上の写真は、私が香港の重慶大廈へ行った時のものです。
手前の画面にあるように、人民幣(RMB)と日元(JPY)という表示があります。
更に買入(BUY)・賣出(SELL)という表示があるので、香港ドルから世界のいろんな通貨へと換金ができる。
つまりは、人民元→香港ドル→日本円の両替ができるということです。
以下は、重慶大廈にある両替屋の1つである堅成找换有限公司のレート表。
(最新のレート表はこちらから)
買入と賣出ですが、
まず人民元→香港ドルの場合、両替商が人民元(香港ドル以外の外貨)を香港ドルで買います。つまり、買入を見ます。
例えば、10000人民元を1.12000のレートで買い取りするので、払い出されるのは11200香港ドルです。
更に香港ドル→日本円の場合も両替商が香港ドルを得ることで、日本円(香港ドル以外の外貨)を売ります。つまり、賣出を見ます。
11200香港ドル÷0.0693=161,616円を得ます。
同日の香港時間午前9時頃(日本時間10時頃)のレートを参考にすると、
1元=16.385円なので、約1.4%の手数料で日本円に換えられたという計算。
こういう方法を使えば、多額でも動かせますが、
おい!わざわざ香港行かなきゃダメなのかよ!面倒じゃないか
と思う人もいるでしょう。
それでも、100万円相当くらいまでならこの方法を使って日本へ持ち込めますよという方法の紹介でした。
(中国の法律上、人民元を外国へ持ちださせる金額は年間5万USドル相当分まで)
でも、運が悪いと日本の税関で捕まるかもしれないし…、
リスクを恐れる人は、
いきなり多額を動かそうと考えないほうがいいかもしれません。
もう少しだけお手軽に両替する方法
それでは、わざわざ中国や香港まで行かなくても、日本にいながら両替する方法の紹介です。
まず用意するのは、
- 支付宝(Alipay)
- 中国の複数の銀行口座
です。
支付宝ではなく微信支付(Wechat Pay)なら持っているんだけどという方もいると思います。
それでもいいのですが、
微信支付の残高を自分含めて銀行口座へ送金するためには手数料が0.1%取られます。
例えば10000元を送金する場合は手数料10元(約160円)かかります。
一方の支付宝は、
普通に送金しようとすると、やはり手数料が0.1%かかります。
はぁ?結局、微信支付でも支付宝でもどっちでもいいんじゃないか!嘘つき!
と思うかもしれませんが、裏口があります。
この順番で進めていくと、最後に「手数料無料」という表示が出ます。
支付宝を使うと、手数料無料で自分の銀行口座へ送金することができます。
この送金先の銀行口座は、中国の身分証を持たずに外国のパスポートで支付宝を使う場合、中国の銀行口座であればどこでもいいというわけではありません。
外国のパスポートで支付宝の認証ができる口座(つまりサービスと紐付けができる銀行)は、以下に限られています。
- 中国銀行
- 中国工商銀行
- 中国建設銀行
- 中国光大銀行
- 中国農業銀行
- 交通銀行
- 招商銀行
- 華夏銀行
- 郵政儲蓄銀行
- 厦門銀行
- 広東華興銀行
- 広東省農業信用社
- 富邦華一銀行
- 新韓銀行
- ハナ銀行
- ウリ銀行
- DBSシンガポール発展銀行
- HSBC汇豊銀行
- スタンダードチャータード渣打銀行
(いずれも中国大陸の支店に限る)
これらの自身の銀行口座があれば、手数料無料で支付宝から送金できます。
それ以外の銀行の場合は、手数料0.1%を出すという条件であれば送金可能です。
さて、日本円へ換える手順を…
とその前に、
先ほど、
- 中国の複数の銀行口座
と書いたのはどういうことか?という説明です。
上にある銀行リストは比較的規模の大きい銀行が並んでいますが、
ここから外貨へ両替する場合、手数料が結構かかります。
人民元から日本円へ換える場合、各銀行についている銀聯システムを利用します。
この表によると、
- 中国銀行: 手数料0.5%(15~50元)
- 中国工商銀行: 手数料1%(14~112元)
- 中国建設銀行: 手数料1%+12元
- 中国光大銀行: 手数料15元
- 中国農業銀行: 手数料1%+12元
- 交通銀行: 手数料1%+12元(15元~)
- 招商銀行: 手数料0.5%(10元~)
- 郵政儲蓄銀行: 手数料0.5%+12元(15~62元)
という中国の銀行へ支払う手数料が発生します。
ここのところ、日本のATMで銀聯システムを使って日本円を換金した場合、1回あたり5万円以下が多い状況。
その後、セブン銀行(セブンイレブン等のATM)で1回あたり10万円以内に緩和。
ほかではSMBC信託銀行<<PRESTIA>>のATMで1回あたり1000米ドル相当という方法があるようですが、セブンイレブンのATMで引き出したと仮定して、
cf: 中国银联汇率 – 日元/人民币
銀聯公定レートで上では1,000日本円あたり61.97人民元となっています。
つまり1回で10万円分6,197人民元を引き出すとなると、上の銀行群では最低で15元、最高で約74元の手数料が余計に発生します。
更にセブン銀行ATM側の手数料が発生するので、
10万円を引き出すために、
15~74元+110円(銀聯レートに基づくと約6.82元)
手数料が21.82元~80.82元(352~1,304円)
余計にかかります。
それでも構わないから、とにかく両替したいというなら構いませんが、
先ほどの中国・香港経由と比べても手数料が高く感じます。
それならば、中国の銀行手数料を抑制できる銀行口座があると良いと思いませんか?
その銀行はどこか?
銀聯カードを使った引き出し経費を抑えるために で説明した通りですが、この投稿から制度に変化が出ています。
例えば、華夏銀行。
以前は1日1回、つまりセブンイレブンで1日10万円の引き出しであれば手数料無料で、かかるのは110円だけだったのですが、2016年12月以降、
月1回手数料無料、以降12元/回
に改悪されました。
更に恒豊銀行においても、
以前は制限なしで手数料無料でしたが、月6回まで手数料無料、以降15元/回
へと変わりました。
银联借记卡境外ATM取现发卡银行手续费一览表 を参考とした手数料無料のところですが、
- 恒豊銀行: 月6回まで無料
- 華夏銀行: 月1回まで無料
- 南京銀行: 無料
- 浙江泰隆商業銀行: 月8回まで無料
- 浙江稠州商業銀行: 月3回まで無料
- 寧波銀行: 無料(寧波・温州以外の支店)
- 渤海銀行: 月3回まで無料
- 九江銀行: 日5回・月50回まで無料
- 広東華興銀行: 月30回まで無料
このあたりの銀行口座へ送金した後に、日本のATMで引き出せば手数料が安くできます。
外国のパスポートで支付宝の認証ができる口座で紹介したリストの中で、華夏銀行を除くと
- 広東華興銀行: 月30回まで無料
があれば、銀行口座1枚で支付宝→銀行口座→セブンイレブンATMで年間10万元相当分まで(中国の規定で銀行カード1枚で年間10万元の制限)引き出せますが、名前の通り広東省にのみ支店があります。
私自身、開設しようと深センのある支店へ出向いたのですが、開設には当地の就労証明がないとできませんと断られました(苦笑)
※1店舗しか行っていませんので、ほかの支店も同じかは不明です。
これらの中国手数料無料の銀行を使えば、10万円あたりの手数料は110円だけ。
あとは月~金の中国時間11時(日本時間正午)に1回だけ更新される最新の銀聯レートを見て、レートが有利な時に引き出しに行けばOKということです。
銀聯のレートの決まり方には確実な規則性がないのですが、ここ最近は実際のレートと0.8~0.9%くらいの差があるので、中国手数料無料の銀行口座を噛ませると実質1%程度の手数料で換金が可能です。
もし、中国の銀行口座をたくさん駆使すれば総額で大きいお金を引き出せるかも!?
中国の規定で1枚の銀行カードで、年間10万元・1日あたり1万元(約16万円)の引き出し制限があります。
1枚のカードで1万元を引き出すとなると、日本のATMで複数回の引き出し操作が必要なので、その都度手数料が発生します。
もし、どうしても1日に100万円日本で引き出したいと考えるならば、中国手数料無料の銀行カードを10枚用意して、10回引き出し操作をすれば可能です(笑)
でも、その場合は実質的にいろんな手数料で1万円以上が消えているので、LCCで安い航空券がある時に香港へ行ってしまうほうが安くなるかもしれません(笑)
2017/02/09追記その1:
当投稿を見た方から、支付宝や微信支付を使わなくても、中国の銀行間で送金すれば殆ど手数料無料ですよね。というご指摘を頂きましたが、それはその通りで、
現在中国大陸の銀行のほとんどはモバイルアプリ等で送金すると異なる銀行間でも送金手数料無料で送ることができます。
(銀行の設定や、個人の送金設定により1日または1回に送金できる金額が異なる場合があります)
当投稿では、分かりやすさを優先して支付宝を使った方法を紹介しました。
最後に、私自身中国国内の銀行口座を30口座くらい持っていて、必要に応じていろんな銀行の間で資金を受け渡して日本で円を受け取っていますが、各銀行のモバイルアプリ・特にAndroidのアプリでは銀行公式ではない野良のものが多いので、特にマイナー銀行ではモバイルバンキングのアプリはできるだけ銀行窓口が薦めたURLからダウンロードするようにしましょう。
2017/02/09追記その2:
更に別の方から、中国から現金を持ち出せる金額は1回に5000USドル相当じゃなかったっけとご指摘頂きました。こちらもその通りで、建前上!?は1回につき5000USドルまでの外貨、または2万人民元となっていますので、例えば深センから香港へ渡る場合は、税関で没収されるリスクがあります。
現状、中国大陸からマカオへ入国する際は、人民元に限り持ち出し制限がありません。
(カジノで消費してもらうため)
そのため、大陸→マカオ→香港というルートであれば合法的に大きい金額でも持ち出しが可能となっています。
しかし、実際もう既にこのようなルートで膨大な資金流出が起こっているでしょうし、今後も同じかの保証はありません。